第一歴代誌

歴代誌
歴代誌は、サムエル記や列王記と内容が重なります。しかし、全く同じではなく、その書き方や強調点の違いから先の二書には含まれていない事柄も多くあります。特に列王記に比べて南王国の20人の王たちに焦点があります。歴代誌はヘブル語聖書では最後におかれ、まさにイスラエルの歴史の総まとめの様な位置づけになっています。この書物は前5世紀頃に、多くの資料によってまとめられたと考えられます。ユダヤの伝承ではエズラ記の最後の部分との類似からエズラよって書かれたと言われます。「第一」はアダムから始まるイスラエルの系図、特にユダ族、レビ族、ベニヤミン族が強調されます。続いてサウル王、そしてダビデ王の神殿建設準備が強調されます。「第二」はソロモン王の神殿建築、それ以後の南王国の王たちが描かれます。私たちは、歴史に働かれた神を覚え、このお方とのあり方について思い巡らしましょう。また神殿に関わった祭司たちの働きにも目を留めてみましょう。

第一歴代誌 1章
歴代誌は列王記と違い系図から始まります。それも人類の祖アダムにさかのぼり、9章のバビロン捕囚から帰還した人々にまで続きます。まさに特別な使命を与えられたイスラエルの歴史を系図という形で描くことから始まります。この章はアダムからイサクの子、特にエサウまでの系図になります。整理すると、①アダムからノア(1-3)、ノアの子ヤフェテの系図(5-7)、ノアの子ハムの系図(8-16)、ノアの子セムの系図(17-23)。②セムからアブラハム(24-28)、アブラハムの子イシュマエルの系図(29-31)、アブラハムのそばめの子の系図(32-33)、アブラハムの子イサク(34)。③イサクの子エサウ(エドム人)の系図(35-54)、イサクの子イスラエル(ヤコブ)の系図は2章になります。ここにはすべての名があるわけではありませんが、一人一人の歴史に関わられた神様を覚えます。このお方は、今も私たちに関わり導かれるお方であることを覚えましょう。

第一歴代誌 2章
この章は、イサクの子イスラエル(ヤコブ)の系図です(1-2)。その焦点はダビデに続く系図で、ヤコブの妻レアの子で四男のユダの系図になります。その直系が前半の17節まで、それ以降は傍系が紹介されます。ユダと彼の長子の嫁タマルとの間にできた長男ペレツ(3-8)、ペレツの長男ヘツロン、ヘツロンの次男ラムの系図がダビデ王につながります。第一サムエル17章でダビデは8男ですが、ここでは7男になっています。エッサイの息子の一人は子孫を残さず死んだと考えられます。また後にダビデを助ける妹たちの子たちも紹介されています(9-17)。続いて、ヘツロンの三男カレブの系図(18-20、42-55)、ヘツロンの別の子の系図(21-24)、ヘツロンの長男のエラフメエルの系図が記録されています(25-41)。ここには罪の現実があり、また必ずしも長子が直系を受け継いだわけではないことを見るにつけ、罪の世において神様のご計画が進められることを覚えましょう。

第一歴代誌 3章
この章には、ダビデ王の系図が記録されます。まずヘブロンで六人の子が与えらます。政治的事情もあったとはいえ、すべて異なる妻による子たちでした(1-4)。さらに、長男アムノンは義理の妹を辱め、三男アブサロムはクーデターを起こし、四男アドニヤも自分勝手に王になろうとしました。続くエルサレムでは、ウリヤの妻でアンミエルの娘バテ・シェバによる子が四人、その中にソロモン王がいます。その他9人の子の名が挙げられ、それ以外にも側女の子たちもいました(5-9)。続く、ソロモンからバビロンに捕らえられるまでのゼデキヤまでの系図(10-16)は、ヨハンナ(15)とエコンヤ(エホヤキン)の子ゼデキヤ(16)以外は南王国の王たちです。そして続く、エコンヤからエルヨエナイの子たちまでの系図(17-24)の中のゼルバベル(19)は、エズラ記などに登場します。罪人の歴史の中にある主の憐れみを覚えつつ、約束を確かに守られる主に信頼しましょう。

第一歴代誌 4章
前半は、すでに2、3章に記録されたイスラエル(ヤコブ)の四男ユダの系図のうち、そこで触れられていない人々の系図が断片的に記されます。ユダの第五男のショバル(1-2)エタム(3-4)、アシュフルのそれぞれの系図(5-10)が記録されます。アシュフルの系図に登場する「悲しみ」という名を持つヤベツの大いなる求めの祈りに注目しましょう(10)。11節から23節は断片的な系図で、士師記に登場したオテニエル(23)やカナン入国に際して名を残したカレブ(15)の名があります。後半は、イスラエルの三男シメオンの系図です(24-27、34-43)。死海南方のエドム人と思われるメウニム人(41)やアマレク人(43)打ち破り、土地を取得したことも記録されています。シメオン族の居住区はユダ族の南、死海と地中海の間で、その一部が重なるゆえにここに記録されているのかもしれません(28-33)。ヤベツの祈りに心を合わせて、主に大胆に祈ってまいりましょう。

第一歴代誌 5章
この章は、約束の地の東側、すなわちヨルダン川の東に領土を求めたルベン、ガド、マナセの半部族の系図が紹介されます。ルベンはイスラエル(ヤコブ)の長子でしたが、恥ずべき行為のため長子の受ける特権を失います。彼の子孫はヨルダン川の東側のギルアデの地に増え広がります(1-10)。イスラエルの七男ガドの子孫は、ルベン族より北のバシャンに居住します(11-17)。そして、ルベン族、ガド族、マナセの半部族は神により頼み、ハガル人を打ち破り多くの家畜と領土を手にしたことが記録されます(18-22)。マナセの半部族は、他の二部族よりさらに北の領土を得ます(23-24)。しかしやがてこれらの部族の子孫たちは他の神々を慕ったゆえにアッシリアに捕囚されることになります(25-26)。自分たちの希望で相続地を求め、それを許されたにもかかわらず、その恵みを忘れた彼らの姿に、私たちも忘恩の民とならないように自らを振り返りましょう。

第一歴代誌 6章
この章にはイスラエル(ヤコブ)の三男レビの系図が記録されます。レビ族は幕屋、続く神殿の奉仕に携わります。レビの子ケハテ、その子アムラムからアロン、モーセ、ミリアムが生まれ、さらにアロンの三男エルアザルの系図が記録されます(1-15)。続いてレビの3人の息子、ゲルショム、ケハテ、メラリの氏族が紹介され、長男ゲルショムの系図が記録されます(16-30)。次に、ダビデの時代以降、賛美の奉仕に関わる一族の記録です(31-33)。中央はケハテ族からヘマンの一族(33-38)、右側にゲルショム族からアサフの一族(39-43)、左側にメラリからエタンの一族(44-47)が記録されます。そして、再び大祭司の家系、至聖所に仕える特別な奉仕者アロンの系図が確認されます(48-53)。レビ族の居住地は各部族の中にあって全土に広がります(54-81)。レビ族は各部族の中で神との関係を示す役割を担う存在でした。私たちも遣わされた場で主の栄光をあらわしましょう。

第一歴代誌 7章
この章には、まずイスラエル(ヤコブ)の五男イッサカルの系図が記録されます。勇士の数は八万七千人でした(1-5)。この部族はガリラヤ湖の南に居住地を得ます。続いて十二男ベニヤミンの系図で、記録された勇士の数を合計すると五万九千四百三十四人になります(6-12)。この部族はエルサレムの北方に居住地を得ます。六男ナフタリ族は一言だけです(13)。続いて十一男ヨセフの子マナセ族の系図です(14-19)。これは先に見たヨルダン川の東に住んだ半部族と別れ、西に住んだ残りの半部族の系図です。次に同じくヨセフの子エフライム族の系図が、その居住区を含めて少し詳しく記録されます。この系図にヌンの子ヨシュアが誕生します。居住地はベニヤミン族の北、マナセの半部族の南でした(20-29)。30節からは八男アシェル族の系図です。勇士は二万六千人でした(30-40)。ここにもダンとゼブルン族の系図でてきません。私たちはこのことを厳粛に考えましょう。

第一歴代誌 8章
この章はベニヤミン族の系図が七章より詳しく記録されます。特に後半は初代イスラエルの王サウルに向かう系図が記録されます。他の系図と同様、名前の違い、世代が省略などもありますので注意が必要です。まずベニヤミンの五人の子の名が記録され(1-2)、長子ベラの系図になります(3-7)。ここにはエフデという名がありますが、これを士師エフデ(士師記3章)と理解するならば、ベニヤミンからエフデの間には約五百年の時があることに頭にとめておきます。次に、シャハライムが誰かは不明ですがその子エルパアルの系図(8-18)として、十四節に記録されたシェマ(シムイ)の子(19-21)、シャシャクの子(22-25)、エロハム(エレモテ)の子(26-27)が特に紹介されています(28)。そして後半がサウル王の系図となります(29-40)。新約のパウロもベニヤミン族でした。ベニヤミン族も問題がありながら主の憐れみに支えられた部族です。主の憐れみを覚えましょう。

第一歴代誌 9章
この章はバビロン捕囚の後、帰還し、エルサレムに住んだ人々の系図が記録されています(1-4)。これは現存していない「イスラエルの王の書」にも記録されています(1)。まずはユダ族の人々が紹介されます(4-6)。続いてベニヤミン族(7-9)、祭司(10-13)のリストです。さらに十四節以降はレビ人のリストですが、特に十四節からは賛美に関わる奉仕者たち(14-16)、門衛の務めについた人々(17-27)、さらに主の宮の器具等に関する奉仕が紹介されています(28-32)。この後、少しだけ、先ほどの賛美に関わる人々についての補足説明がなされて(33-34)、最後に、八章の後半に記録されていたサウル王の子孫の系図がもう一度、記録されて十章につながっていきます(35-44)。帰還した人々は、破壊された町の再建のために、自らの役割、責任を忠実に果たしたことでしょう。私たちの持ち場、役割は何でしょう。今日もそのことを誠実に行ってまいりましょう。

第一歴代誌 10章
この章はサウル王からダビデに王位が移っていく様子が記録されます。詳細は第一サムエル記九章以下で確認しましょう。サウル王はペリシテ人との戦いによりガリラヤ湖の南西、ギルボア山で息子たちとともに死にます(1-7)。彼の遺体と武器は、ペリシテ人に奪われ、異教の偶像の前にさらされます。特に、彼の首はベテ・シャンの城壁にさらされました(第一サムエル31:10)。そのことを聞いて、かつてサウル王に助けられ、恩義のあったヤベシュ・ギルアデの住民たちは(第一サムエル11章)、奮い立ち、亡骸の奪還し、丁重に葬ります(8-12)。初代の王サウルとその一家の最後はあまりに悲惨でした。なぜでしょうか。聖書はサウルが「主の信頼裏切った不信の罪」のゆえであると語ります(13-14)。主は憐れみ深く、悔い改めるものを赦し、信頼する者を助けます。しかし、このお方に背を向け続ける者には厳しいさばきがあることを覚え、今日も主の前に歩んで参りましょう。

第一歴代誌 11章
この章にはまずユダの首都であったヘブロンにいたダビデの下に全イスラエルがやってきて王とする様子が記録されます(1-3)。それはサムエルの語られた主のことばの通りでした。その後、ダビデはエブス人の町であったエルサレムを奪取し、そこを首都とし、ダビデの町と呼ばれます(4-9)。主はダビデとともにおられました。10節以降にはダビデに仕えた勇士たちが紹介されます(Ⅱサム23章)。最初に三勇士(10-19)が紹介され、ヤショブアム、エルアザルの名がありますが、シャマの名は欠落しています。特に、彼らが命懸けでペリシテ人の陣営を突き抜け水を運んだ出来事が記録されています。その三人には及ばないもののアビシャイ(20-21)、ベナヤ(22-25)が紹介されます。最後に他の勇士たちのリストが記録されます(26-47)。ダビデ一人の力ではなく神様は助け手を備えました。私たちにも多くの助け手が与えられていることを覚えて感謝しましょう。

第一歴代誌 12章
この章はダビデを支えた勇士たちの記録です。前半はサウル王から逃れて、ツィクラグ(ペリシテの町で、ベル・シェバより北方の町)にいた時、加勢に来た者たちです(1-2)。サウル王と同族のベニヤミン族、レビ族(コラ人)、ガド族、ユダ族、マナセ族の者たちの名があります。これは先の十一章で見てきたダビデがヘブロンで王に就く前の出来事で、別の三十人のリストです(3-22)。アマサイの告白に心がとまります(18)。第一サムエル二十七章以下を合わせて読んでおきましょう。後半は、主のことばのとおり(23)、ダビデを王とするためヘブロンに全土から集まった十二部族の兵士たちの数が記録されています(23-37)。戦いの備えだけでなく、時を悟り、何をなすべきかを知っていた者たちもいました(32)。彼らは全き心で、一つの目的のために、心を一つにしていました(38-40)。主にある目的に目指し、違いを乗り越え、心を一つにすべきことは何でしょうか。

第一歴代誌 13章
ダビデは、主が中心であることを願い、新しい首都エルサレムに主の臨在を象徴する神の箱を運び入れることを提案します。人々はそのことに賛同し、主のみ旨として確認します(1-3)。それまで神の箱はあちこちに移され、当時はエルサレムから北西の町キルヤテ・エアリム(バアラ)に安置されていました(4-6)。ダビデはその任務をウザとアフヨに委ねます。二人は新しい荷車に神の箱を乗せ、ダビデも楽器と踊りをもって神の箱を迎え入れようとしました。ところが、キドンの打ち場で神の箱が倒れそうになり、ウザはそれを支えようと手を伸ばした時に打たれました(7-10)。神の箱は本来、レビ人のケハテ族が担ぐべきものであり、決して触れてはならないものでした。ウザも、またダビデもそれを忘れ、あるいは知らず、自分たちの方法や考え、また安易に事を進めました。神の箱は一旦、オベデ・エドムの家に安置されました(11-14)。私たちは神を恐れなければなりません。

第一歴代誌 14章
ダビデに起きた三つの出来事が記録されていますが、第二サムエル(5-6章)ではウザの事件の前に記録されています。記録者の強調点が違っているからでしょう。イスラエルの北方、地中海沿岸のツロの王ヒラムはダビデに木材と技術者を王宮建築のために送りました(1-2)。ダビデはエルサレムで多くの妻をめとり、子どもが与えられます。しかしこれは後に問題を残します(3-7)。ペリシテ人がエルサレム南西に広がるレファイムの谷(9)に攻め上ってきた時、ダビデは主に伺い、バアル・ペレツィムと呼ばれる場所で勝利を得、主に勝利を帰しました(8-12)。再び、ペリシテ軍が攻めてきた時、神は前回とは違った戦略で攻めるように命じます。そして神が先立たれると約束されます(15)。ダビデはギブオンからゲセルまで攻め上り勝利しました(13-17)。私たちも主に伺い、教えられて、行動しましょう。またその主は私たちに先立ってくださるお方です。

第一歴代誌 15章
ウザの事件(13章)の後、ダビデはもう一度、モーセが主のことばにしたがって命じたとおりに(15)、神の箱をレビ人のケハテ族によって担ぎ、エルサレムに運び込むため、祭司とレビ人を招集しました。レビの子たちとその子らの六つの氏族、アロンの直系、祭司ツァドクとエブヤタルが集いました(1-15)。また、歌い手、楽器の奏者、ラッパを吹き鳴らす者、警護の門衛たちとともに、神の箱をダビデの町エルサレムに運び入れる備えをしました(16-24)。そして、それぞれが服装も整え、喜びをもって迎えました。その時、ダビデは踊りをもってその喜びを表しましたが、ダビデの妻、サウルの娘であるミカルは、部屋の中から見下ろし、そしてその姿をさげすみました(25-29)。彼女は神の箱を迎えもせず、冷めた目でそれを見ていました。ダビデは失敗しましたが、もう一度やり直しました。そして心からの神の箱を、それは神を迎えようとしました。私たちはどうでしょうか。

第一歴代誌 16章
ダビデは神の臨在の象徴である神の箱をエルサレムの幕屋に運び込みます。献身と感謝のしるしとして全焼のささげものと交わりのいけにえをささげ、さらに民にパンと菓子を与え喜びを分かち合い、そして主に感謝と賛美の礼拝をささげます(1-7)。その告白は、主の恵みを思い起こし、主に感謝し、主の御名を賛美し、主を喜び、主を求め、主がなされたみわざ、主のさばきを覚え、とりわけ、主がイスラエルとの契約を誠実に果たされたことを思い起こします(15-22)。また、全地に対して主を賛美せよ(23-27)、主に栄光を帰せよ、主を礼拝せよと招きます(28-36)。詩篇百五、九十六、百六なども合わせて読んでみましょう。そしてアサフとその兄弟が中心となりエルサレムの幕屋に仕え、また祭司ツァドクたちはモーセが造った幕屋のある(Ⅰ歴代21:29)ギブオンで、日々の日課として主に仕えるようにしました。私たちも日々、主への感謝と賛美を捧げてまいりましょう。

第一歴代誌 17章
ダビデは自らがツロの杉材の家に住んでいるの、神の臨在を示す主の契約の箱がいまだ天幕の下にあることに対して気持ちが落ち着かず、主にふさわしい主の住まいをつくることを願い、ナタンに相談します(1-8)。ダビデ王は主を第一にし、主の栄光を求めた王でした。それに対して主は、わたしがあなたの家、あなたの王国を確立させ、また、あなたの子がわたしのために一つの家を建てると約束されます(9-15)。これは、やがて来られる真の王イエス様の誕生にまでつながる約束ともなります。この主のことばに対して、ダビデはへりくだり祈ります。それは主の約束に感謝し、主の御名をあがめ、主がイスラエルのなされたみわざをほめたたえ、真実なるお方を賛美しました。第二サムエル七章も読んでみましょう。ダビデは、主を第一にし、主の声に聞き従い、主の前にへりくだり、主に感謝し、主に祈りました。ここに私たちが神様とどのような関係に生きるべきかを教えられます。

第一歴代誌 18章
この章はダビデの治世における支配地域の拡大についての記録です。ダビデは地中海岸を支配していたペリシテを打ち(1)、さらに死海の東方モアブを支配します(2)。北のアラムのさらに北方、ハマテの南方のツォバの王ハダドエゼルを打ち、それを助けたアラムのダマスコを打ち、多くの戦利品を手にします(3-8)。ただし、軍事用の馬の足の筋は切ります。ハマテの王トウは、ハマテの南方ツォバの王ハダドエゼルが打たれたことを喜び、ダビデに同盟の貢物を送りました(9-10)。その他、ヨルダン川東岸の地域について、南の方からエドム、モアブ、アンモン、さらにユダの南の方アマレクからも貢物が送られ、聖別されました(11)。エドム人との戦いが記録されています(12-13)これらの勝利は、主によるものです。そして、ダビデは重臣たちとともに、さばきと正義を行いました(14-17)。主により頼み、人々が用いられ、主の正義がなさることが国にとって大切なことです。

第一歴代誌 19章
この章はヨルダン川の東アンモンとの出来事が記録されています。アンモン人の王ナハシュが死に、その子ハヌンが後を継ぎます。ダビデは引き続き、友好関係を築くために使者を送ります。しかし、ハヌンとその側近たちは疑い、ダビデの使者に屈辱を与えて送り返しました(1-5)。どんなに好意を示しても、疑い、不信によって、その関係は簡単に崩れてしまいます。そしてアンモンの王ハヌンは、北方のアラムに協力を求め、兵と武器をそろえ、メデバに陣を張ります。ダビデの将軍ヨアブとその兄弟アビシャイが戦地に赴き、それぞれアラム軍、アンモン軍に対抗します。彼らは状況に応じて助け合うことを約束し、勝利を得ます(6-15)。互いに補い合うことは力になります。その後、アラム軍は増軍をしますが、ダビデ軍はそれをも打ち破ります(16-19)。これらも主の戦いです。主が勝利を与えてくださいます。その中で、私たちは自らがなすべき力を尽くしてまいりましょう。

第一歴代誌 20章
王たちが戦いに出ていく春、ダビデ王の将軍ヨアブは、ヨルダン川を渡り東に約四十キロのアンモン人の首都ラバを包囲し、アンモン人を打ち、多くの戦利品と捕虜を得ます(1-3)。ダビデ王は、この時、エルサレムにとどまり、バテ・シェバの事件が起こっています(Ⅱサムエル11章)。四節以降はペリシテ人とダビデの勇士たちの闘いの記録です。、エルサレムから西に約三十キロのところにあるペリシテとの国境の町ゲゼルで戦いが起こります。フシャ人シベカイはレファイムのシパイを打ち(4)、ヤイルの子エルハナンはガテ人ゴリアテの兄弟ラフミを打ち(5)、ダビデの兄弟シムイの子ヨナタンは、ラファという大男の子孫で、指が両手両足に六本ずつある男を打ち破ります(6-8)。どれも人間的に見れば強靭な相手でありましたが勝利を得ました。ダビデ王には勇士が与えられ、それらの助けを得て、王国は築き上げられました。主は私たちにも助け手を与えてくださいます。

第一歴代誌 21章
ダビデは国の力を知ろうと人口調査をヨアブ将軍に命じます。これは神様ではないものに頼ろうとする、あるいは自分を誇ろうすとる誘惑であり、その背後に、サタンの働きがありました(1-2)。将軍ヨアブの助言にも関わらず、ダビデは自分の思いを成し遂げます(3-6)。これは主の前に悪であり、ダビデはその非を速やかに認めますが、結果は刈り取らなければなりませんでした。ダビデは三つの中から主の手に陥る懲らしめの道を選びます(7-13)。疫病によって国は打たれますが、主はあわれみをもって徹底的に滅ぼすことはしませんでした(14-17)。ダビデはオルナンの打ち場を買い取り、そこで全焼と交わりのいけにえをささげ、主はそれに答えてくださいました。この場所はシオンの山、後に神殿が建てられます(18-30)。誘惑されて罪を犯すことがあります。罪の結果を刈り取ることがあります。しかし主は憐れみ深いお方であることを覚えて、主の前に歩みましょう。

第一歴代誌 22章
ダビデは神殿建築のために、力の限りの資材と人材の備えをしました(1-5)。それは自らが建築するためのではなく、息子ソロモンによって成し遂げられるという主の命令に従って、息子ソロモンに託されるものでした(6-10)。そしてソロモンに対して、主がともにおられ(11)、主が思慮と悟りを与え、主の律法を守り(12)、主の命令と掟に従うなら栄え、それゆえに雄々しくあるように命じます(13)。そして、さらに、その備え以上に、さらに加えて神殿建築のために力の限り資材や人材を整えるように命じます(14-16)。そして、長老たちに対して、ソロモンを助けるように命じ、そしてソロモンに語ったと同じように、あなたがたも、心とたましいを傾けて、主に心を向け続けるように命じました(17-19)。ダビデがソロモンに残した遺産は、主に対する信仰でした。私たちが後代に伝えるべき遺産はなんでしょうか。私たちが先人から受け継ぐべき遺産は何でしょうか。

第一歴代誌 23章
ダビデは後継者としてソロモンを指名し(1)、さらに主の宮で奉仕する者たち、モーセの律法による三十歳以上のレビ人を数え、それぞれの任務に分けました。その人数はモーセの時(民数記4:48)の約四倍になっています(2-5)。レビ族はゲルション族、ケハテ族、メラリ族に分けられました(6)。ゲルション族(7-11)、そしてケハテ族(12-20)、この系図にはアロンとモーセが誕生し、アロンの子孫は祭司として、主の前に香をたき、主に仕え、主の御名によって祝福する特別な務めを担いました(13)。メラリ族の系図(21-23)に続き、レビ族の奉仕の内容が要約されています。神殿の完成に伴い、幕屋の運搬はなくなりますが(26)、主に仕える奉仕は同じです(27-30)。また祭司の奉仕についても触れられます(31-32)。今日、すべての主を信じる者は祭司として召されています。その責任を思い起こしつつ、また教会におけるそれぞれの働きも覚えましょう。

第一歴代誌 24章
この章は祭司、レビ人の組み分けの記録です。祭司の家系となるアロン子孫たち六千人(23:4)の組み分けに記録されます。アロンの子ナダブとアビフは主の命令に逆らったため死に(レビ10:1、2)、エルアザルとイタマルの子孫によって祭司の務めが受け継がれてきました(1-2)。それぞれを十六組、八組の合計二十四組に分けました(3-19)。祭司エリ(Ⅰサム2章)やサウル王に殺されたアヒメレク(Ⅰサム22章)はイタマル系なのでそのこともかしらの数が少ないことに関係しているのかもしれません。またバプテスマのヨハネの父(ルカ1:5)はアビヤに属していました。祭司以外のレビ人の組み分けについては、二十三章の名簿と並行して、ケハテ族(20-25)、メラリ族(25-30)の名が記録されています。そして兄と弟に関係なく平等にくじが引いてそれぞれの責任を担いました(31)。それぞれの責任や働きは違っても、同じ主の前にある尊さを働きであることを覚えましょう。

第一歴代誌 25章
この章は聖歌隊の組み分けについての記録です。その組み分けには軍の長たちも関わりますが、それは戦いに宗教的な意味合いがあったからと考えられます。そしてまた主への賛美は、賛美とともに主のメッセージを伝えるという意味において、預言する者たちとも言えます(1)。アサフはゲルション族(2)、エドトンはメラリ族(3)、ヘマンはケハテ族(4-5)に属するレビ人で、アサフの子四人、エドトンの子六人、ヘマンの子十四人がかしらとなり二十四組に分けられ、各組には十二人(9-31)、総計二百八十八人が四千人(23:5)の中から選ばれ特別な訓練を受けました(6-8)。その任務のためにはくじが引かれ、主の御心が示されました。主がその働きのために選ばれました。主は、それぞれの責任が与えられます。私たちの一人一人の働きがあります。自分にとっての働きの場、働きの内容は何でしょうか。また賛美を通して主をほめたたえつつ、主を語り続けましょう。

第一歴代誌 26章
この章はまず門衛の組み分けが記録されます。コラ族、さかのぼるとケハテの子孫のアサフ族からメシェレムの子たち(1-3、9)、オベデ・エドムの子たち(4-7)が記録され、特にエドトンの子オベデ・エドム(16:38)は神の箱を三か月間守った(13:13-14)こともあり、その祝福と主がふさわしい力を与えられたことが記録されます(8)。そこにメラリ族のホサの子たち(9-11)を合わせて、彼らがかしらとなり四千人(23:5)とともに門衛として配属されました。その分担はくじにより平等に分けられ(12-13)、働きの場が定められました(14-19)。また神殿で使用される器具と戦利品として主にささげられたものが治められた宝物倉の管理に関する奉仕(20-28)、ケハテ族のイツハル人のケナンヤを全体の責任者とし、ヨルダン川の西側をハシャブヤ、東側をエリヤが責任者となり、神殿の外の奉仕として、宗教的働き、税金や民事など管理の奉仕を担いました。各人の責任があります。

第一歴代誌 27章
この章はまず軍隊の組み分けが記録されます。各々かしらがたてられ、月ごとに二万四千人が仕えました(1-15)。各分団の長は十一章に登場した勇士に名が連ねた者たちです。ユダとタマルの子のペレツの子孫(3)、ダビデの護衛長ベナヤ(5)、アブネルに殺されたアサエル(7)、ラファの子孫を倒したシベカイ(11)などが名を連ねています。十六節からは各部族の長たちのリストです(16-24)。理由は分かりませんが、ここにはガド族とアシェル族の長の記録はありません。この調査は主のさばきのため中断しました。続く二十五節以降は王の財産の管理者たちの記録で、宝物倉の管理(25)、畑や果樹(26-28)、家畜(29-31)をつかさどりました。三十二節からは政治を支えた人々のリストです(32-34)。洞察力のある助言者が存在しました。このように多くの人々がダビデを支え、国は豊かになりました。主を恐れ、従うものには、主は多くの助けと祝福を与えてくださいます。

第一歴代誌 28章
この章はダビデが後継者ソロモンに神殿建設を委ねていくことが記録されます。ダビデは指導者たちを集め、神殿建設の志を持っていたがソロモンに託されたこと、主がユダ部族から王家を立てられたこと、主の命令に従うなら王国はとこしえに確立すること、主に従うならば祝福を受けることを宣言します(1-8)。そのとこしえの王国はやがてイエス様に続く預言でもありました。さらにソロモンに対して、ダ主に心から仕えるならば祝福が続くことを約束し、神殿建設を実行するように告げます(9-10)。さらにダビデはそのための具体的な指示を残しました(11-19)。そのことはダビデの知恵ではなく、御霊によって示されたとあります(12)。そして、最後に、もう一度、強くあれ、主がともにいてくださり、そして多くの助け手が与えられていることを伝えます(20-21)。このダビデを通して語られた主の約束は今も変わらず、主に従うものたちにも語られていることを覚えましょう。

第一歴代誌 29章
前の章でダビデは神殿建築に関して、指導者たち、ソロモンに伝えるべきことを伝えましたが、ここでは会衆に向かって語ります。そして「自ら進んで」主へのささげものに招きます(1-5)。その招きに、民の長たちは「自ら進んで」(6、9)ささげ、民もダビデもそれを喜びました(6-9)。主に進んでささげるものたちには喜びがあります。そしてダビデは全会衆の前で主への賛美を捧げます。大いなる主への賛美(10-11)、力を与える方(12)、感謝(13)、小さなものに目を留めてくださるお方(14-17)、主に心を向けるものへの祝福(18-19)が告白されます。そして、民とともに主へのいけにえをささげ、ソロモンを王とし、ツァドクを祭司に任じました(20-25)。最後にダビデの治世の記録の書が紹介されます(26-30)このように祈りと約束のうち跡を継いだソロモン王が、またその民もやがて主から心をそらしていくことを覚える時に、人の罪深さを思わずにはいられません。